トイガンに関する重要な法律
定義
銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法)
銃砲刀剣類所持等取締法施行規則(以下、施行規則)
1971年(昭和46年)銃刀法改正
1974年(昭和49年)自主規制(業界団体)
1977年(昭和52年)銃刀法改正
2006年(平成18年)銃刀法改正
1. 昭和46年法改正
銃刀法・第22条の2(模造拳銃の所持の禁止)
何人も、模造拳銃(金属で作られ、且つ、拳銃に著しく類似する形態を有する物で、内閣府令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)所持してはならない。
2. 施行規則・第1条(模造拳銃)
法第22条の2第1項の模造拳銃について内閣府令で定めるものは、次の各号に掲げる措置を施していないものとする。
(1)銃腔に相当する部分を金属で完全に閉塞すること。
(2)表面(銃把に相当する部分の表面を除く。)の全体を白色又は黄色とすること。
〇 概要
昭和46年の法改正により、それまでの拳銃タイプの金属製、黒色、銃身及び回転式弾倉貫通モデルの所持が禁止された。しかし、インサート等による改造防止策の規定がない。また、この時点では、長銃タイプ(小銃、機関銃又は猟銃)は、規制の対象外である。即ち、長物タイプは従前通り、黒色のままで製造販売ができる。
今回の規制は、隠し持てる拳銃タイプに限り「外観規制」を施し、実銃(黒色)と玩具銃(白又は黄色)との見分けがつくよう区別したに過ぎない。
(参考)
昭和38年、モデルガンメーカー「MGC」は、金属製回転弾倉式モデルガンの銃身内に鋼材インサートを鋳込み、業界初の改造防止の措置を施した。後に業界の自主規制の礎となる。「鋼材インサートを鋳込み工法」を考案、特許を取得する。
3. 昭和52年法改正
銃刀法・第22条の3(販売目的の摸擬銃器の所持の禁止)
何人も、販売目的で、摸擬銃器(金属で作られ、かつ、拳銃、小銃、機関銃又は猟銃に類似する形態及び撃発装置に相当する装置を有する物で、銃砲に改造することが著しく困難なものとして総理府令で定めるもの以外のものをいう。次項において同じ。)を所持してはならない。
4. 施行規則・第103条(摸擬銃器に該当しない物)
法第22条の3第1項の銃砲に改造することが著しく困難なものとして総理府令で定めるものは、銃身、機関部体、引き金、撃鉄、撃針(回転弾倉式拳銃の撃針に限る。)、回転弾倉、尾筒、スライド及び遊底に相当する部分が、ブリネル硬さ試験方法(日本工業規格Z2243)により測定した硬さがHB(10/500)91以下の金属で作られているもので、別表の左欄に掲げる区分に応じ、同表の右欄に掲げる構造等のいずれかに該当するものとする。
第103条 参考資料(PDF_587KB)
○ 国は再度、銃刀法を改正して「金属製モデルガンの規制強化」を諮り、長銃タイプ(小銃、機関銃、猟銃)を含む金属製モデルガン全般にわたる構造について規制が追加された。その結果、銃身と機関部体とが一体鋳造型の長銃を除く、全鉄製モデルと自動式けん銃銃タイプで銃身が分解できるタイプなどは、「販売目的での所持が禁止」された。
<内訳>
(1)法で定めるブリネル硬さ91以下の金属に適合しない、金属(鉄板プレス)で作られている長銃サブマシンガンタイプのシュマイザーMP40/BLK、ステンMKーⅡ/BLK、スターリングMK-Ⅴ/BLKモデルなどが玩具市場から姿を消した。
(2)自動装填式拳銃タイプのうち、銃身が分解できる構造で作られている、ワルサーP38及びPPK(コマーシャルタイプ)、FN380及びハイパワー、コルトGM及びCOM、SW44オート、スペインラーマなどが玩具市場から姿を消した。
”注意事項„
<売買することが出来る金属製モデルガン(中古品も含む)>
モデルガン業界団体では、銃刀法で規制強化された1977(昭和52年)以後~2022年の現在でも製造販売している金属製モデルガン(長銃タイプ&拳銃タイプ)は、銃刀法に適合した「証」として、銃本体に「smGマーク又はSTGAマーク」が刻印してある。従って、smGマーク又はSTGAマークの刻印してある金属製モデルガン(中古品含む)に限り、安心して売ったり買ったりすることができる。
*違反すると1年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑に処されますので十分注意をして下さい。
金属モデルガン売買時の注意(PDF_513KB)
5. 自主規制(業界団体)
(1)1974年(昭和49年)行政(通産省、警察庁)はモデルガン業界の自主規制を認めて、全国のモデルガン製造業者11社は「日本モデルガン製造協同組合(後のASGK組合)」組織。メーカーMGCは、全組合員にモデルガン改造防止策の「鋼材インサート鋳込み工法を無償開示」した。翌50年に警察庁は、大野技官指導の基、自主安全基準制定のため、銃のタイプ別、改造防止策について協議を開始し、その結果、金属製モデルガン自主安全基準を制定すると共に検査基準実施要綱も決定。第三者試験検査機関に於いて、銃本体の構造及び鋼材インサート硬度測定検査を実施し、検査に合格した製品の銃本体に「sm」マークを刻印し、製品箱には「安全証紙」を貼付して自主規制を開始した。
その後、一部の不心得者によるsmマーク入りモデルの改造事例が数件起きたことにより、モデルガン組合は、警察庁に改造防止の強化改善策を示したにもかかわらず、警察庁は組合の意向を無視し、一方的に規制強化を諮り昭和52年に法改正した。
(2)プラスチック製モデルガン誕生・・・黒色のモデルガンの復活
モデルガン業界団体は、2度の法規制で金属製モデルガンは、外観が黄色にされ及び銃腔の閉塞により、BLK機能の低下などで付加価値がなくなり上記の如く、メーカーの主力商品が製造できなくなるなど、深刻な状況の中、メーカーMGCは、必死になって研究開発を行った結果、銃刀法の模造けん銃で定める、「金属で作られ、かつ、拳銃に著しく類似する形態を有する物」に抵触しないプラスチック製(ABS樹脂)モデルガンを製品化して「黒色のモデルガン」が蘇った。
プラスチック製で作られているため、銃の重量は軽くなるも若年層のユーザーでも遊べるようになり、モデルガン史上、空前のヒット商品(S&W41ハイパト、44マグナム、コルト(MK-Ⅲ、GM)、レミントンM31R)となり、他社メーカーも続々と新製品を発売した。
(3)プラスチック製モデルガンの自主規制
業界団体は、銃刀法第103条で定める「摸擬銃器に該当しない物」の別表(103条関係)を参考に区分では、回転弾倉式拳銃タイプ、自動装填式拳銃タイプ、長銃(小銃、機関銃、猟銃)タイプに分け、それぞれの構造に応じて、改造防止の措置を施した自主安全基準及び検査基準実施要綱を制定。2022年の現在でも第三者試験検査機関に於いて構造検査を行い、検査に合格した「証」として銃本体には「SPG又はSTGA」マークを刻印し、製品箱には「安全証紙」を貼付して製造販売している。
黒色で蘇ったプラスチック製モデルガンは、モデルガン業界団体の自主規制で、法規制されないように歯止めをかけて守っている。
6. 2006年(平成18年)銃刀法改正(エアガン規制)
銃刀法第21条の3(準空気銃の所持の禁止)
何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、準空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃であって空気銃に該当しないもののうち、内閣府令で定めるところにより、測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人を傷害し得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)を所持してはならない。
〇銃刀法改正の要約
トイガン業界団体は、自主規制で弾の威力を抑えてきたが、一部の不心得者の違法な改造エアガンによる発砲事件が多発した。そこで、犯罪の取り締まりのため、国(警察庁)は、法で従前の空気銃を3つのカテゴリーに分類した。
<定義>
空気銃:人の生命に危険を及ぼし得る威力・・・現行法で所持の禁止。20J/㎠以上。競技用・狩猟用として公安委員会の許可が必要
準空気銃:人を傷害し得る威力・・・本規制で所持の禁止。3.5J/㎠以上 実用には威力が低いが、人に傷害を与える危険性がある
エアガン:人にほとんど傷害を与えない威力・・・玩具銃(エアガン)。3.5J/㎠未満
<エアガンの計測条件>
BB弾 =重さ0.2g
計測地点 =銃口から75㎝の地点から1m25cmの地点の間の弾速
温度 =摂氏20℃から35℃の全ての温度
威力 =6mmBB弾使用で0.989J以下 8mmBB弾使用で1.63J以下
上記の条件を揃えて弾速測定を行い最高速度で、6mmBB弾で0.989J 8mmBB弾で1.63Jを超えてはならない。
従って、改正銃刀法では、0.989J(1.63J)超える弾速を有するエアガンは準空気銃に該当し、所持が禁止されている。
<銃刀法 罰則規定>
1年以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑が処される。
<年齢制限>
銃刀法では、エアガンの威力(パワー)規制以外に所持・購入に規制はありませんが、トイガン業界団体では、自主規制で対象年齢18歳未満(10歳以上用)表示のエアガンは、都道府県青少年健全育成条例に適合するよう整合性を諮り、弾の威力値を「重さ0.12gの6mmBB弾で0.135J以下」に定めて、製造販売している。
7. 最後に ~トイガン業界のあり方~
平成18年8月成立した銃刀法改正により、業界団体が以前から行政当局に申し入れていたように、弾の法定威力値が具体的に数値で示されることで「エアガンは玩具銃です」と云える環境が整った。おおむね、業界団体の自主規制値を尊重した規制内容となった。
しかしながら、同規制値(0.989J)は内閣府令で定めていますので、今後、規制値内のエアガンで事件が多発し、大きな社会問題化した場合、法改正をせずに内閣の判断のみで弾の威力値が(例、0.4J以下)に変更される恐れがあることに注意する必要があります。
従って、業界団体では、今後もユーザー及びトイガン販売店には、十分な広報で「改造防止とトイガンの適正な使用方法」の啓蒙啓発を行うと共に日本で生まれたトイガン(モデルガン&エアガン)は文化芸能の映画、テレビ、演劇などにも寄与しており、欠かせない小道具です。このように世界に類のない「トイガン文化」を守るため、周知を図って参ります。
以上